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2008.01.27 母べぇ

サイズ変更母べぇ

 評価:★           微笑ましさと強さ度:90%

 評価表(★:絶賛! ☆:面白い! ◎:良かった♪ ○:普通 △:ややつまらない 凹:ヘコむ ×:観ちゃいけない)

 『あらすじ』

 昭和15年、東京の片隅で暮らす野上一家。父親の滋は、ドイツ文学者として論文を発表するも、そのほとんどが「検閲」に引っかかってしまう有様。それでも家族は、明るく微笑ましい生活をしていた。とある早朝、野上家の戸を叩く音で目覚めた滋は、いち早くその異変に気付いた。

 滋の著書が著しく国政を批判しているとゆー「治安維持法違反」で、妻と子供の目の前で滋は思想犯として連行されてしまうことに。残された妻・佳代と長女・初子、侍女・照美は、夫であり父親である滋の身を案じながらも、厳しい生活を余儀なくされてゆくことに。

 『感想』

 実は、たましょく…吉永小百合の出演作品を観るのはコレがはじめて。日本を代表する大女優ではあるのでしょーが、何分、たましょくが好きそうな映画に出演されるよーな方ではなかったので。タイトルは「母べぇ」ですが、この家族は父親・滋の決まり事?で名前に「べぇ」を付ける呼び方が定着してます。

 「ALWAYS」以降、こーゆー古き良き昭和的作品がけっこー多いよーにも感じますが、今回は更に戦前の話。決して暮らし向きは楽ではない4人家族が身を寄せ合いながら、温かく暮らす様が描かれてます。昨年末にテレビで「武士の一分」をチェックしておいたので、山田洋次作品の「味」みたなモノは、なんとなく掴んでいました。(「寅さん」をちゃんと観たことがないのでw)

 父親が連行される時の警察の横暴ぶりには、怒りを覚えながらもそれでも尚、家族に対して優しい眼差しを向ける滋の姿と、目の前で縄をかけられた父親を見送ることしか出来なかった家族の辛さ。連行された滋に代わり?その教え子・山崎徹(通称・山ちゃん)が野上家に通うよーになることで、少なからず一家は救われている感じがすっごい伝わってくる。

 山ちゃんは、律儀で丁寧、堅物かと思いきやユーモアも持ち合わせていて、母べぇの負担を少しでも軽くしよーと、精神誠意家族に尽くす。初べぇと照べぇもすっかり山ちゃんに懐き、父親を警察に奪われた悲しみを軽減してくれる存在。浅野忠信がこんなにも優しい青年役を演じるとは思ってもみませんでしたが、かなりハマり役。

 そんな野上家には、山ちゃんだけではなく、滋の妹の妹・久子(通称・チャコちゃん)や、佳代の叔父・仙吉までもが舞い込むのですが、仙吉役の鶴瓶は、ほぼ「地」でやってるんじゃないかと思うぐらいに本人そのまんまでした。この仙吉の存在は、思春期を迎える初べぇにとっては、デリカシーの無い存在であり、好奇心旺盛な照べぇには、面白い存在として映る様も微笑ましい。

 料理は、そんなに上手じゃないケド、兄の不在を気遣って野上家をなんとか手伝う久子。「武士の一分」で、良妻を演じた壇れいがいつ「金麦」片手に出てきてもおかしくない感じしましたw実は、ここで山ちゃんに対して、少なからず久子は、思いを寄せるよーな雰囲気はあるのですが、既に山ちゃんには、心に決めている人が…

 山ちゃんや久子が色々と手伝ってくれても、収入自体は、母べぇがなんとかしなければいけない状況。世は「贅沢は敵だ!」をスローガンに、貴金属を身に付けていれば「供出」させられてしまうよーな時代。本編の中で仙吉が言っていたセリフがあとのシーンで裏付けられているよーなところがあったのも、軍属や警察がいかに、一般市民を食い物にしていたのかと伝わってきます。

 さて、子役ふたり。まずは、初べぇ役の志田未来。「椿山課長の7日間」を劇場で逃したので、やっとスクリーンで志田未来の演技を拝見したのですが、『素晴らしい』とゆー言葉以外みつからない。母べぇを気遣い、妹の照るべぇをちゃんと窘め、存在感を持たせながらも、出しゃばり過ぎず、しっかりと立場を理解した上で演じているとゆーのが伝わってくる。

 仙吉とのやりとりの中で、久子と「あの叔父さん、キライ」と母べぇには直接言えない不満を口に出すシーンなども、子供なりに母べぇと叔父の関係を頭で分かっているんだと。汽車で帰る仙吉に「冷たいこと言って、ごめんね~」のシーンで、ウルウルでした。(仙吉があの指輪を渡す演出にも)

 拘置所に居る父親に手紙を書くシーンで、照べぇのあまりにも素直過ぎる内容に姉として注意をするも、本当は自分も今、悩んでいることを父親に相談したいと打ち明ける初べぇ。相手を心配させまいと「元気です」と書くより、家族なんだから思ったことを書けばいいと説く母べぇの言葉が染みる。

 そして、妹・照べぇ役の佐藤未来(「みく」と読む)。一瞬、初代「ちびまる子」かと思ったケド、違いました。この子もなかなか天才肌な子役ですね。作品の中では、誰よりも「無邪気」な存在として、描かれていてある意味でムードメーカー。警察に連行された父親と一度だけ面会するシーンで、変わり果てた父べぇの姿に戸惑うところや、そんな父親を悪く言う刑事の手を振り払うしぐさなど、無邪気な中にも家族を思う強さの表現がしっかりとされてました。

 この照べぇが無邪気な上に「食いしん坊」キャラ。キャラとゆーか、子供らしさを演出してると思うのですが、なんとも微笑ましい。母べぇの父親(警察関係者)に呼ばれて、料亭に呼ばれた時も最後まで「すきやき」に対して名残惜しそうだったし、父べぇの恩師の家で出された「カステラ」に対する執着心もかなりのモノ。

 全体を通して、もっと「悲壮感」が伝わってくるのかと思っていたのですが、それ以上に家族の絆と温かさがすっごい伝わってきて、けっこー泣いてました。あと、母べぇの努力なのでしょーが、ふたりの姉妹は貧困から来る暗さはなく、前向きなんですよ。

 物語は、日本が全面的にアメリカと戦争状態に突入するあたりから急変。一通の電報が家族にある事実を報せ、その報せと同時にある手紙が。そして、野上家を献身的にサポートしてきた山ちゃんにも「赤紙」が届くことで、物語は終盤へ。

 母べぇは、まさに誰もが想像する「日本のお母さん」を描いてました。夫を理解し、子供を愛でて、周囲の人間との付き合いも大事にする。生き方(信念)をとやかく言われれば、しっかりと意見を言う。最後のシーン、寄り添う照べぇに言った言葉は、ずっと耐えるばかりだった母べぇの最後の本心だったんだろーと。

サイズ変更特典・母べぇ

前売り特典:母べぇカレンダー

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