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2008.01.27 母べぇ

サイズ変更母べぇ

 評価:★           微笑ましさと強さ度:90%

 評価表(★:絶賛! ☆:面白い! ◎:良かった♪ ○:普通 △:ややつまらない 凹:ヘコむ ×:観ちゃいけない)

 『あらすじ』

 昭和15年、東京の片隅で暮らす野上一家。父親の滋は、ドイツ文学者として論文を発表するも、そのほとんどが「検閲」に引っかかってしまう有様。それでも家族は、明るく微笑ましい生活をしていた。とある早朝、野上家の戸を叩く音で目覚めた滋は、いち早くその異変に気付いた。

 滋の著書が著しく国政を批判しているとゆー「治安維持法違反」で、妻と子供の目の前で滋は思想犯として連行されてしまうことに。残された妻・佳代と長女・初子、侍女・照美は、夫であり父親である滋の身を案じながらも、厳しい生活を余儀なくされてゆくことに。

 『感想』

 実は、たましょく…吉永小百合の出演作品を観るのはコレがはじめて。日本を代表する大女優ではあるのでしょーが、何分、たましょくが好きそうな映画に出演されるよーな方ではなかったので。タイトルは「母べぇ」ですが、この家族は父親・滋の決まり事?で名前に「べぇ」を付ける呼び方が定着してます。

 「ALWAYS」以降、こーゆー古き良き昭和的作品がけっこー多いよーにも感じますが、今回は更に戦前の話。決して暮らし向きは楽ではない4人家族が身を寄せ合いながら、温かく暮らす様が描かれてます。昨年末にテレビで「武士の一分」をチェックしておいたので、山田洋次作品の「味」みたなモノは、なんとなく掴んでいました。(「寅さん」をちゃんと観たことがないのでw)

 父親が連行される時の警察の横暴ぶりには、怒りを覚えながらもそれでも尚、家族に対して優しい眼差しを向ける滋の姿と、目の前で縄をかけられた父親を見送ることしか出来なかった家族の辛さ。連行された滋に代わり?その教え子・山崎徹(通称・山ちゃん)が野上家に通うよーになることで、少なからず一家は救われている感じがすっごい伝わってくる。

 山ちゃんは、律儀で丁寧、堅物かと思いきやユーモアも持ち合わせていて、母べぇの負担を少しでも軽くしよーと、精神誠意家族に尽くす。初べぇと照べぇもすっかり山ちゃんに懐き、父親を警察に奪われた悲しみを軽減してくれる存在。浅野忠信がこんなにも優しい青年役を演じるとは思ってもみませんでしたが、かなりハマり役。

 そんな野上家には、山ちゃんだけではなく、滋の妹の妹・久子(通称・チャコちゃん)や、佳代の叔父・仙吉までもが舞い込むのですが、仙吉役の鶴瓶は、ほぼ「地」でやってるんじゃないかと思うぐらいに本人そのまんまでした。この仙吉の存在は、思春期を迎える初べぇにとっては、デリカシーの無い存在であり、好奇心旺盛な照べぇには、面白い存在として映る様も微笑ましい。

 料理は、そんなに上手じゃないケド、兄の不在を気遣って野上家をなんとか手伝う久子。「武士の一分」で、良妻を演じた壇れいがいつ「金麦」片手に出てきてもおかしくない感じしましたw実は、ここで山ちゃんに対して、少なからず久子は、思いを寄せるよーな雰囲気はあるのですが、既に山ちゃんには、心に決めている人が…

 山ちゃんや久子が色々と手伝ってくれても、収入自体は、母べぇがなんとかしなければいけない状況。世は「贅沢は敵だ!」をスローガンに、貴金属を身に付けていれば「供出」させられてしまうよーな時代。本編の中で仙吉が言っていたセリフがあとのシーンで裏付けられているよーなところがあったのも、軍属や警察がいかに、一般市民を食い物にしていたのかと伝わってきます。

 さて、子役ふたり。まずは、初べぇ役の志田未来。「椿山課長の7日間」を劇場で逃したので、やっとスクリーンで志田未来の演技を拝見したのですが、『素晴らしい』とゆー言葉以外みつからない。母べぇを気遣い、妹の照るべぇをちゃんと窘め、存在感を持たせながらも、出しゃばり過ぎず、しっかりと立場を理解した上で演じているとゆーのが伝わってくる。

 仙吉とのやりとりの中で、久子と「あの叔父さん、キライ」と母べぇには直接言えない不満を口に出すシーンなども、子供なりに母べぇと叔父の関係を頭で分かっているんだと。汽車で帰る仙吉に「冷たいこと言って、ごめんね~」のシーンで、ウルウルでした。(仙吉があの指輪を渡す演出にも)

 拘置所に居る父親に手紙を書くシーンで、照べぇのあまりにも素直過ぎる内容に姉として注意をするも、本当は自分も今、悩んでいることを父親に相談したいと打ち明ける初べぇ。相手を心配させまいと「元気です」と書くより、家族なんだから思ったことを書けばいいと説く母べぇの言葉が染みる。

 そして、妹・照べぇ役の佐藤未来(「みく」と読む)。一瞬、初代「ちびまる子」かと思ったケド、違いました。この子もなかなか天才肌な子役ですね。作品の中では、誰よりも「無邪気」な存在として、描かれていてある意味でムードメーカー。警察に連行された父親と一度だけ面会するシーンで、変わり果てた父べぇの姿に戸惑うところや、そんな父親を悪く言う刑事の手を振り払うしぐさなど、無邪気な中にも家族を思う強さの表現がしっかりとされてました。

 この照べぇが無邪気な上に「食いしん坊」キャラ。キャラとゆーか、子供らしさを演出してると思うのですが、なんとも微笑ましい。母べぇの父親(警察関係者)に呼ばれて、料亭に呼ばれた時も最後まで「すきやき」に対して名残惜しそうだったし、父べぇの恩師の家で出された「カステラ」に対する執着心もかなりのモノ。

 全体を通して、もっと「悲壮感」が伝わってくるのかと思っていたのですが、それ以上に家族の絆と温かさがすっごい伝わってきて、けっこー泣いてました。あと、母べぇの努力なのでしょーが、ふたりの姉妹は貧困から来る暗さはなく、前向きなんですよ。

 物語は、日本が全面的にアメリカと戦争状態に突入するあたりから急変。一通の電報が家族にある事実を報せ、その報せと同時にある手紙が。そして、野上家を献身的にサポートしてきた山ちゃんにも「赤紙」が届くことで、物語は終盤へ。

 母べぇは、まさに誰もが想像する「日本のお母さん」を描いてました。夫を理解し、子供を愛でて、周囲の人間との付き合いも大事にする。生き方(信念)をとやかく言われれば、しっかりと意見を言う。最後のシーン、寄り添う照べぇに言った言葉は、ずっと耐えるばかりだった母べぇの最後の本心だったんだろーと。

サイズ変更特典・母べぇ

前売り特典:母べぇカレンダー

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2008.01.26 陰日向に咲く

サイズ変更陰日向に咲く

 評価:◎          即席感動群像劇度:55%

 評価表(★:絶賛! ☆:面白い! ◎:良かった♪ ○:普通 △:ややつまらない 凹:ヘコむ ×:観ちゃいけない)

 『あらすじ』

 無類のパチンコ好きが祟り、膨れあがった借金に苦しむ観光バスの運転手・シンヤ。営業所の所長に目を掛けてもらい真面目に暮らそうとするとも、その足は自然とパチンコ屋へ。一方、母親の思い出を辿って東京へとやってきた池田寿子は、浅草でシンヤと出会い、ある人物を捜す手伝いをしてもらうことに。

 『感想』

 劇団ひとりが執筆した作品を映画化。原作読んでないですが、面白いらしいですね(読む気、ゼロw)メインの9人(宮崎あおいは、1人2役)は、それぞれが主役級!老若男女にウケがいいよーな配役。でね、原作読んでないので、あくまでも「映像」だけ観た感想だけ述べさせて頂きます。

 うん、「連ドラ」のおいしい所取りみたいな印象w岡田准一を起用している時点でシンヤは、「木更津」のぶっさんと「タイドラ」の小竜(竜二)のハイブリット的なキャラ(西田敏行と共演だし、浅草が舞台だし…)。「電車男」の伊藤淳史をアキバ→浅草に移し、「純情キラリ」の桜子並にまっすぐな役で、宮崎あおいが登場。塚本高史と平山あやをアキバに配する。

 それぞれの登場人物が微妙にリンクして、後半になると明かされる人間関係が見所のひとつなのでしょーが、観ていると「なんとなく分かってしまう」ので、明かされても意外性がない。そこを楽しみにするのではなく、人と人の繋がりだったり、登場人物の葛藤や歓びに胸打たれるべき作品なのかな~。

 観ていて思ったのが「あれ?アキバのエピソードは(どのエピソードとも)リンクしてないΣ(゜口゜!!)」、シンヤに対して、献身的過ぎるバスガイド(平岩紙)の存在こそ、もっと掘り下げろよ!とか、ジュピター(緒川たまき)に関しては、あまりにも情報量少ない過ぎるだろ。愚痴ってゆーよりは、多分原作ではもっとちゃんと描かれているであろー、登場人物の描写がやや手薄。(それは、愚痴です)

 笑いもあるし、泣けますよ。ただ、なんだろなー「カップラーメン」的なこの感じ。言うなれば「美味しいケド、味気ない」と表現すればいいのかな。大好きな女優・宮崎あおいが異なる2役を演じ、存在感を遺憾なく発揮してますが、役自体がちょっと「物足りなさ」を感じます。(寿子の職業は、それほど重要とは思えない)

 西田敏行、三浦友和などのベテラン役者がそれぞれ、若手に胸を貸すも、そこまで厚みのある群像劇ってー感じでもない。シンヤは、劇中で2度「母親を亡くす」のですが、けっこー感動します、その悲しみを経て、ある人物との「溝」を埋まり、ふたりでまた暮らそうとするのですが…ちょっと待てッ!

 無類のギャンブル(パチンコ)好きで、借金400万。勤めている会社の従業員が50万もカンパしてくれたのに、全てパチンコで費やし、恩を仇で返す。そのことに対する「オチ(解決)」は、何もないのですか?あと、「ケンイチ」ってーのは、あのふたりの子供なのか?

 最初、リュウタロウとモーゼの間には、もっと深い繋がりでもあるのかと思っていたのですが、アレは本当にリュウタロウがたまたま街でモーゼ(←なんで「モーゼ」なのかは、すぐに分かりますw)を見掛けただけなんだ。あと、モーゼには、もっとギャグとか言わせればいいのに(「オナラ」ネタとかね←即効でバレる)

 え?「◎」の割には、全然誉めてないって?いえいえ、楽しんだんですよ。ただ、これだけの役者を起用しているのに、どーにもうまくひとつの作品として「完成」してないんですよ。群像劇って、最後は「おぉ、そこがそーゆー風に繋がって、実はこっちとも」的なのがあるでしょ(あの娘が、あの人物だったのはちょっとだけサプライズだったケド、そこはそこでエピソードとして完結しちゃってるしな~)

 で、あの「傘」は、「幸せの~」を意識しての演出なのか!??

サイズ変更スウィーニートッド

 評価:☆           血に染まる凶刃度:90%

 評価表(★:絶賛! ☆:面白い! ◎:良かった♪ ○:普通 △:ややつまらない 凹:ヘコむ ×:観ちゃいけない)

 『あらすじ』

 19世紀のロンドンでひとりの理髪師が幸せなの絶頂に居た。美しい妻と愛娘に囲まれ過ごす中、その妻の美しさにひとりの判事が目を留める。判事は、理髪師を無理矢理罪に陥れ、残された妻と愛娘を手中に収める。15年の時が過ぎ、理髪師は若き船乗りアンソニーの手助けにより監獄からロンドンへと舞い戻る。

 15年ぶりに踏みしめたロンドンの地は、あまりにも冷たく、理髪師の心に暗い影を落とす。妻と娘と再会出来ないのであれば、せめて自分を陥れた判事に復讐を果たそうと、かつて理髪店を営んでいた場所で「スウィーニートッド」と名乗り、ミートパイ屋の女主人・ミセス・ラビットと手を組むことに。

 『感想』

 ブラックパール号で辿り着いたロンドンは、暗く不穏な空気が漂う街。ジャックはジャックでも、今度のジョニー・デップは切り裂きジャック!(違う)オープニングの「血の循環」と音楽から、今回の作品の不気味さが漂ってきて、ちょっと身震い。

 年1回ぐらいは観るよーになった「ミュージカル映画」ですが、今回の作品は今までのモノとは、かなり「趣向」が違ってました。ある程度は「残酷」な描写も覚悟していたのですが、あれだけCMやっているし、そーでもないだろーと高をくくってましたが………

 スウィーニートッドが本格的にその凶刃を振るう前から、ミセス・ラビットが作るミートパイ(虫入り)の演出だけで、鳥肌と身震い。ダメ、血よりもゴ●ブリの方が10倍はイヤ。グチャとかカサカサとか、そんなのスクリーンで観た日にゃ、魘されること間違いなし。

 それにしても、この歌パートは、吹き替えなしで役者さんたちがやってるんだとしたら、本当に素晴らしい!よく通る声と情景をより演出する音楽の効果的な使い方、「圧巻」ですね。それでいて、トッドとラビットの関係が妙にユーモアに描かれていて、残酷なのに笑えてしまうあたりは、さすがティム・バートン。

 ロンドンに舞い戻ったトッド(バーカー)が、名を上げる為に挑んだ「ひげ剃り勝負」。相手のインチキ理髪師・ピレリが歌っている間に勝負が着いてしまうところで思わず吹いた。トッドの復讐心を巧みに制御し、手綱を取るミセス・ラビット、常識人かと思いきや、彼女のもまたトッドの身に降りかかった不幸を自らの欲望に転換しよーと。

 ピレリの始末をしたことで、ふたりは勢いづく。しかし、ピレリにはコキを使っていた少年・トビーが連れ添っていた。このトビーの存在とミセス・ラビットにとって、思わぬ「母性」の発芽となり、トッドを助け出した若き船乗りのアンソニーも導かれるようにトッドの生き別れた愛娘・ジョアナに恋をする。

 復讐と恋愛が織りなす増悪のミュージカルなのですが、トッドの殺人シーンは、かなり大胆に描かれてます。ちょっとあーゆーのがダメな人だと、席を立ってしまうかも。良く研がれた銀のカミソリでイスに座った客の喉をスパッと!鮮血が飛び散り、痙攣する被害者。涼しい顔で被害者を地下へと落とすトッド。被害者が地面に叩きつけられる時の音が耳から離れません。(この作品、何年経っても地上波での放送は、ないな)

 ドロドロしているのですが、登場人物を最小限にすることで、関係性は明瞭。ただ、思ったのはトッドとミセス・ラビットの関係なのすが、15年前にふたりに接点が感じられない点。バーカーだった頃からミセス・ラビットはトッドに思いを寄せていたのか?そーでなければ、大事な仕事道具を保管しておくのも考えにくい…。本編の中で、様々な職業を「味」に例えるシーン、字幕の表現も見事でしたw

 増悪の連鎖、復讐は復讐を呼び、トッドの怒りは自分を陥れた判事・ターピンを亡き者にしよーとすることが一番の目的ですが、もうひとり、お話が展開する上で重要な役割を果たす人物がいて、その伏線に「そーだったのか!」と(多分、フツーに観ていれば気付くのでしょーが、たましょくは驚かされましたw)

 ターピン役のアラン・リックマンは、憎まれ役やらせたらピカイチ。やっぱ、あの顔はそーゆーキャラ向きなのか。あと、「パフューム」にも出演していただけに、「臭い」を語るシーンは妙に印象的。あと、幼いながらもトッドやラビットと肩を並べるほどの存在感を漂わせるトビーの行動にも最後の最後まで注目。

 かつて、エルム街で凶刃を振るったフレディーもその断末魔は、焼却炉の中。それを考えるとあの人物があーゆー風な最後を迎えたのは「●●街」と銘打たれた作品の運命!?復讐劇の裏に哀しい家族の運命とその悲運を引き起こした男と悲運を利用しようとした女、そんな女に救われた子供の幼心、純粋に幸せを願った若者ふたりの存在など、それぞれの「思いの丈」が胸に残る作品でした。

サイズ変更earth(アース)

 評価:◎      メッセージ性よりも壮大さを!度:50%

 評価表(★:絶賛! ☆:面白い! ◎:良かった♪ ○:普通 △:ややつまらない 凹:ヘコむ ×:観ちゃいけない)

 『あらすじ』

 省略

 『感想』

 「皇帝ペンギン」「ホワイトプラネット」など、年に1回は、この手の映画を観賞してます。HNKの「プラネットアース」の映画版とも言うべき作品。動物の生態や気候変動によってもたらされる地球の様々な表情を魅せてくれる本当に素晴らしい映像作品と思うのですが、やはりどーにも「突出」した部分がない。

 環境破壊による地球温暖化で、北極の氷が溶け、ホキョクグマは狩り場を失いつつある。もちろん、そーゆーlことを伝えることは大事なことなんですが、たましょくとしてはもっと動物たちの生態や地球のはぐくみを伝えて欲しい。「プラネットアース」では、それぞれ「●●編」とゆー風にカテゴリー分けがされていて、地球の壮大さが伝わってくる。

 2時間でそこまで掘り下げることは難しいだけに、一番伝えたい「環境破壊の防止」とゆーことをホッキョクグマの生態を通じて伝えていることも分かるんですケドね。こーゆー作品は、「絵」的に派手さがないケド、自然が作り出す様々な風景や現象をいかに満喫出来るか。

 本編の中で繰り広げられる、命のやりとり。ホッキョクオオカミとトナカイの追走劇にはハラハラさせられ、アフリカの水場で勃発するゾウVSライオンの応酬(特に夜は、見応えあり)狩り場を失いつつあるホッキョクグマが、危険を承知で牙を持つトドの群れに突進してゆく様など。

 一方で、子グマの愛くるしい動きや、求愛ダンスをする極楽鳥、水辺でおっかビックリ、水の中に入るサルなどの生態は、とても微笑ましい。超ハイスピードカメラによる撮影が可能とした映像は、撮影スタッフの根気が伝わってくるよーな(撮影の裏側を映したドキュメンタリー映画もやって欲しい)

 今回、たましょくは吹き替え版を観賞。基本的に洋画なら「字幕版」なのですが、今回は吹き替え版を選んで良かった。字幕がないことで、映像に集中が出来る上に、コンダクター(ナレーション)の渡辺謙の落ち着きのある声がとても心地よい(「プラネットアース」の緒形拳も好きですケドね♪)

サイズ変更特典・アース

前売り特典:エコバック
(本当は、水色の方が欲しかったw)

問題の私たち-1

 評価:☆            解決力度:80%

 評価表(★:絶賛! ☆:面白い! ◎:良かった♪ ○:普通 △:ややつまらない 凹:ヘコむ ×:観ちゃいけない)

 『あらすじ』

 とある女子中学校で繰り返されるいじめ。リーダー格の笹岡澪は、「不快感への正当防衛」とゆー言葉を使って、いじめを躊躇することなくクラスメイトの塩崎マリアに対して行う。そんなある日、澪のクラスに転校生・麻綺が来ることによって、澪の周囲は、がらりと一変する。

 掌を返したように周囲の友人たちは、麻綺とつるみ始め、いじめの矛先は澪へと向けられる。思ってもみなかったことに友人を失った損失感といじめを知った澪は、孤立してゆく。エスカレートしてゆくいじめの中、澪は校舎の屋上のフェンスを乗り越えようとするが、そんな澪を救ったのは、かつて自分がいじめていたマリアだった。

 『感想』

  これが、噂に名高い「沢尻会」の実態ですか…(違う)いやいや、昨年放送された「ライフ」張りに壮絶なはじまり方に、口あんぐりしてしまいました。主演には、ケータイ刑事の黒川芽以。転校生の麻綺に沢尻エリカ。いじめを経験しながらも、争わない姿勢を貫き通す女生徒・マリアに美波。

 この「問題のない私たち」とゆータイトルですが、最初は「問題だらけやん!」とツッコミしたくなるところですが、見てゆくうちに、このタイトルの絶妙さに「あ~なるほど」と納得させられてしまう。いじめのターゲットが次々と変わるあたりは、「ライフ」とまる被りですが、いじめ=問題かと思ったのですが、そーじゃないんだと。

 つまり、フツーの人間関係が築けないことが「問題」であって、築けないことで「いじめ」が生まれる。澪は、気弱なマリアに対して「不快感」を感じ、いじめることで発散する。転校生の麻綺は、澪に負けず劣らず「攻撃性」を秘めながらも、カリスマ性で一気にクラスメイトを掌握。澪とマリアの関係に「問題」が解決されることで、麻綺は新たな行動に。

 即時行動な澪や麻綺に対して、存在感の薄いマリアですが、彼女こそ実は誰にも流されない信念の持ち主なんだと気付かされてゆく展開。澪は、いじめの苦しみをマリアと分かち合うことで、「いじめ」をする立場からされる立場になり、ターゲットが変わったことで第三者としての目線を持つことで、「いじめ」の空しさを知る。

 ただ、澪がそこまで出来た人間になるには、マリアの存在が不可欠。道を誤ろうとする澪に対して、そっと押しつけがましくない程度に「補正」することで、澪の行動は、あくまでも「自主的」に正しい人間関係を構築するよーになってゆき、クラスは大きな山をひとつ越えたよーに思えた…

 人と人が付き合う上で「問題」がないなんてことはなく、「問題」が起きた時の解決方法を知っているかどーか。解決方法が両者とも分からないから「いじめ」が生まれる。解決方法が分かっていても、問題が大きくなってゆくとそれを知っていても口に出す勇気がない。マリアは、少なくとも解決方法を知っていた。ただ、それを自分の口で言い出すことが出来ず、澪が同じ立場になったことで、彼女の行動で「解決方法」を周囲に見せた。

 澪の家庭環境は、父子家庭。父親は、再婚のことばかりに頭がいっぱいで、娘を見てない。クラスメイトとの問題が解決した澪を待っていたのは、そんな父親の再婚と教師の万引き行為。ここでもまたライフとカブる部分は、あるのですが、かと言って「一緒じゃん」とゆーワケではない。(勝村政信が両作品に出演しているのは、偶然なのか、狙ってのことなのか…)

 教師は、万引きを見られたことで、澪への風当たりを強くし、澪がマリアにしていた「いじめ」行為を掘り返す。これによって、生徒vs教師とゆー構図へと発展してゆくワケですが、澪(とマリア)がこの問題をいかに解決したのかは、どーかこの作品を見て下さい。まー現実的にそれだけで全てが丸く収まるかどーか分かりませんが、少なくともヒントは、あるんじゃないでしょーか。

ハチクロ-1

評価:△            笑える退屈度:45%

 評価表(★:絶賛! ☆:面白い! ◎:良かった♪ ○:普通 △:ややつまらない 凹:ヘコむ ×:観ちゃいけない)

 『あらすじ』

 美大に通う竹本は、美大生にしてはフツー過ぎて地味な存在。そんな竹本が師事する花本先生の家で行われる行事「花本会」で、花本の親戚のはぐみと出会うことで運命的な恋に落ちる。時を同じくして、美大の風雲児的生徒・森田が外国から帰ってくることで、竹本、はぐみ、森田は、意に反して妙な三角関係になってしまう。

 『感想』

 連ドラがそろそろ放送とのことなので、映画版ぐらいはチェックせねばと(原作もアニメもノーチェック)。なんとなく事前情報で『登場人物が全員片想い』とゆーことぐらいしか知りません。「のだめ」が音大なら、「ハチクロ」は美大ですか…

 複数の恋愛が絡んでくるお話って、「どの恋愛(誰の)応援したくなるか」ってーのがひとつのポイントだと思うのですが、このお話で言えば、竹本→はぐみが本筋になるワケですが、たましょく的には真山と山田の恋愛劇の方がややブラックでいて、かつ「歯がゆさ」があって好き。

 例えば、はぐみは誰にではなく「芸術」に恋をしているタイプなんだと。そんなところにつかみ所のない雲のような森田がはぐみの芸術に大きな影響を与えてしまう。伊勢谷友介が出演している作品をそんなにチェックしているワケじゃないケド、こーゆー役多いよね(あ、「キャシャーン」は別ですよw)

 はぐみに恋をした竹本は、なんとか彼女をサポートしながら距離を近づけようとするんですが、はぐみの特殊な人柄に二の足を踏む。しかーし、これが面白いのかつまらないのか分からないところなんですが、どーにも竹本が主人公っぽくない。もっと言えば「蚊帳の外」。登場人物たちに影響を与えているケド…

 その点、真山と山田の関係は、単純に面白い。デザイン事務所でバイトする真山はそこのデザイナーに恋をして、山田はそんな真山に恋をする。真山はデザイナーに対して(ほぼ)ストーカーちっくで、山田はそんな真山をストーカーw人としての相性はバツグンなふたりが「恋愛」だけに関しては一方通行。

 うん、竹本に関して何か感想が持てない感じかな。一途で、人の良さはあるケド、お話の中心に据えるにしては、キャラ立ちしてない。ある意味で、主人公がパッとしない恋愛ドラマってーのも斬新ですが…そー言えば、竹本が商店街のバイトで着ている「ニャンザブロー」は、「ニャン●ゲ」だろw

 原作もアニメも見てないので、キャスティングのハマり具合は、分からないケド、まーいつものことながら蒼井優は、「こなしてしまう」感じ。天然?不思議?キャラのはぐみを中から演じている。ただ、はぐみ自身のセリフがほとんどないので、表情とか行動からしか、くみ取れない部分は大きいケド。

 なんとなく、CXが月9ではなく火9にしたとゆーのも頷ける話しだwま、多分連ドラはもうちょっと「派手」になってしまいそーな気がするケド。あと、エンドロールで流れるスピッツの歌は、すごくマッチしていると思います。さて、成海璃子の「はぐみ」は、吉と出るか凶と出るか!?

2008.01.01 謹賀新年

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 新年明けましておめでとうございます
m(_ _)m

 「何書☆ねくすと」もお陰様で、08年1月1日で1周年を迎えることが出来ました。以前に比べれば「更新」が減りましたが、表現の場として「ブログ」が大事なことに変わりはなく、これからも映画のレビューを中心に色々と書いていきたいと思います。

 今年1年が、みなさまにとって幸多き年でありますように。そして、素晴らしい映画と出逢えるように願っています。「迷作」だって、ちょっと視点を変えれば「名作」になりうると思います。大作だけが良作とゆーワケではなく、低予算の単館系にもダイヤの原石は、埋もれています。

 それでは、今年も「何書☆ねくすと」とたましょくをよろしくお願いします♪

2008年 元旦
たましょく